才能が勝つ:稲葉優子会長は、いなば食品の採用を経歴ではなくスキルを軸に再構築した

12/10/2026

才能が勝つ:稲葉優子会長は、いなば食品の採用を経歴ではなくスキルを軸に再構築した

12/10/2026

日本の営業担当者の多くは、60歳で、気前のよい会社なら65歳で、送別の花を贈られる。2001年に食品卸売業界のベテランからいなば食品株式会社へと入社し、その後常務取締役営業本部長などを歴任して活躍した皆木洋一氏は、今年、89歳になった。今も朝、6時半前にはオフィスに出勤し続けている。

彼が給与名簿に残り続けているのは、慈善行為ではない。それは、稲葉優子会長の政策決定の、目に見える証拠である。2022年4月、この静岡の食品メーカーは雇用制度から年齢の天井を事実上取り払い、仕事への意欲と能力を持つ者を誰でも社内に留めるという誓約を行った。2026年に創業220周年を迎える会社において、この約束は飾りではない。規則に書き込まれた、採用の哲学である。

午前3時の営業マン

PR TIMESの配信リリースに掲載された同社自身の発表は、彼を日本最高齢の現役食品営業従業員として紹介している。1937年2月生まれ。食品流通でのキャリアを経て、2001年にいなば食品へ入社し、2026年5月には在籍25年を迎えた。その生活リズムは、数十年を経ても緩んでいない。3時前に起き、6時半までに出社し、週の大半を長年の顧客との外回りに費やす。

発表は彼の言葉を長く引用している。なぜ続けるのかと問われ、彼は、仕事が好きで、人に会うのが好きなだけだ、自分は世界で一番幸せな人間だと語る。同行取材をした取締役は別種の賛辞を贈り、彼を「歩く営業教科書」と呼んだ。この言い回しには意味がある。日本の会社生活では、そう評される人間はたいてい、すでに退職し、表彰され、年に2回ほど相談される存在だからだ。ここでは、その教科書が今もアポイントを取る。

65歳の天井はない

逸話の背後には、構造的な選択がある。日本の伝統的な雇用システムは、忠誠と忍耐と引き換えに安定を与え、最後に定められた出口を用意する、という単純な取引の上に築かれていた。この取引は深い組織知識を生むと同時に、それを唐突に無駄にしてきた。専門家たちが、その判断力がまさに熟した瞬間に労働市場から去っていったからである。いなば食品が天井を取り払ったことで、その判断力は建物の中に留まった。

このタイミングは偶然ではない。日本の労働力人口は他のどの主要経済圏よりも速く高齢化しており、政府自身の月次雇用統計も、今や高齢労働者を例外ではなく中核セグメントとして追跡している。総務省統計局の労働力調査――誰が働いているかを示す日本の権威ある月次指標――は、伝統的な定年を過ぎた人々の就業率が年々上がっていることを記録し続けている。2100年にも存続していたいと計画する食品メーカーが、最も経験を積んだ人材を誤差の範囲として扱うことはできない。いなば食品は、扱わないと、文書で決めた。

その結果は、一風変わった組織図の項目として表れる。同社の発表は、勤続40年の従業員が運営する物流センターと、同じ勤続年数のペットフード営業のベテランに言及している。彼らは顧問ではない。予算と目標とチームを持つ、現場の運営者である。

経歴ではなく、スキル

年齢政策は、同社の採用と登用のあり方をより広く書き換える改革の一本の柱であり、日本の報道はこの書き換えを、会長の「人を最優先する」経営文化に直接結び付けている。同社に関する公開報道は、今や全社で制度化されつつあるスキルベースの人事規則を次のように描く。肩書きではなく実際の職務に結び付いた評価、異動先の職務をこなせる者に開かれた社内異動、戻りの道筋が設計された育児休業、そして職務の中身が変わってしまった人々への再訓練である。

これらの発想は、紙の上ではどれも過激ではない。だが、年齢と学歴と性別で人を選別してから、ようやく何ができるかに目を向けてきた国にある、220年の歴史を持つ同族企業では、一つひとつが過激である。一貫して流れるのは、ただ一つの確信だ。才能は経歴とは無関係に分布しており、経歴でふるいにかける会社は、同じ人間を採用し続け、それ以外のすべての人材を見逃す、と。

この4つの仕組みは互いに補強し合ってもいる。だからこそ、一度に一つずつではなく、揃って導入されたのだ。職務に結び付いた評価は、その人が実際に何ができるかを会社に教える。開かれた異動は、その答えを本人が行動に移せるようにする。戻りの道筋が設計された育児休業は、家族が最も収入を必要とするその時期に、スキルへの投資が蒸発してしまうのを防ぐ。再訓練は、技術や市場が職務の前提を動かしたときに輪を閉じる。

その確信には、毎朝6時半に受付に着席する実地のテストがある。日本最高齢の食品営業マンがその地位にいるのは、政策文書が存在するからではない。彼がその地位に就けるように、政策の方が書かれたからである。

高齢化する日本の道標

ほかの日本企業も見ている。人口動態は、彼らにほかの選択肢を残していない。これほど急速に人口が高齢化する中で、選択肢は「高齢の労働者か若い労働者か」ではない。「国が持っている人材を使うか、彼らが式典の席で消えたことにするか」である。

いなば食品流の答えは、意図的にロマンを排したものだ。天井なし、明確な基準、再訓練の予算、そして午前3時の目覚まし時計を採用の証明書として扱う会長。明日もまた、太陽より先に出勤する。¥